「答えを確認すると、簡単な単語なのにリスニングがうまく出来ない…」
「英語が速すぎるから、もっとゆっくり話す教材で勉強したほうが良いのかな…」
英語を勉強する以上、リスニングの勉強は避けて通れないので、このような悩みを抱えている人は大勢いると思います。
今回はこの悩みを改善して、英語をかなり聞き取りやすくする勉強法を紹介します。
それは「ディクテーション」です。
ディクテーションを知っている人もいると思いますが、ディクテーションの目的と効果、方法をしっかりと理解しているでしょうか。
目的、効果などを理解せずに闇雲にディクテーションをしていても、あまり効果は実感できないと思います。
私自身、ディクテーションをする意味を意識しながら行うことで、英語が聞き取りやすくなり、最終的にはTOEICのリスニングパートで、480点を取得することが出来ました。
そこで、少しでもディクテーションについて不安がある人、ディクテーションを知らない人は、是非このまま読み進めて下さい。
もちろん、TOEIC学習者だけでなく、リスニングが苦手という人なら誰でもためになるような内容となっています。
リスニングが出来ない原因
リスニングの勉強をしても、なかなかできるようにならない人は、リスニングが出来ない原因を理解して、それに合わせて勉強する必要があります。
そこで、私が思うリスニングが出来ない原因を挙げます。それは以下の2パターンです。
1つずつ対策を紹介していきます。
英文を聞き取れてはいるが、瞬時に理解することが出来ない
まず、「英文を聞き取れてはいるが、瞬時に理解することが出来ない」です。
「英語は聞き取れてるのに、何で理解できないんだ」と思ったことがある人は多いと思いますが、「聞き取ることが出来る」と「リスニングが出来る」というのは問われている能力が異なります。
「聞き取ることが出来る」はそのままの意味で、英語を聞き取れるかどうかです。
対して、「リスニングが出来る」というのは、英語を聞き取って、なおかつ、その聞き取った英語を理解出来るかどうかです。
英語を理解する能力はリーディング力、英文を頭から理解する力が必要です。
読む速さで頭から理解出来ないと、聞く速度で頭から理解することは出来ません。
なので、聞き取れてるのに英文の意味を理解することが出来ないという人は、英文を頭から理解する練習をしてみましょう。
この記事の「精読」からを参考にして下さい。リーディングの勉強法を紹介しています。
英文を聞き取ることが出来ない
次に、「英文を聞き取ることが出来ない」について説明します。
もう少し細かく見ていくと、英語を聞き取れないにも2つのパターンがあります。それは次の通りです。
- 英語を聞き取ることが出来ない
- そもそもその単語を知らないので聞き取れない
- 答えを見ると簡単な単語なのに、聞き取れない
1.「そもそもその単語を知らないので、聞き取れない」がリスニングが出来ない1番の原因だと思います。
単純に語彙力不足で、聞き取れていない、理解できていない可能性が高いです。なので、普段から単語の勉強をして語彙力を強化するしかありません。
また、フレーズや熟語の意味も理解しておくのも効果的です。
次に、2.「答えを見ると簡単な単語なのに、聞き取れない」が今回紹介するディクテーションで改善することのできる点です。
リスニングの勉強をしていて、聞き取れなかったので、スクリプトを見てみると、とても簡単な単語、フレーズだったのに全く分からなかったという経験をしたことが1度はあると思います。
これは、発音知識不足が原因で正しい英語の音を知らないので、知っている単語でも聞き取ることが出来ないのです。
その発音知識とは「弱形」と「リンキング」の2つです。
ここで説明すると長くなってしまうので、この2つを知らないという人は以下の記事を参考にして下さい。
英語の正しい音というのは、例えば、リスニングが苦手な人は「first of all」を「ファースト オヴ オール」と発音されると思い込んでいます。これは勘違いです。
「first of all」は実際は「ファスタ―バァール」のように聞こえます。
聞いてみて下さい。
「ファスタ―バァール」のように聞こえたと思います。
これが英語の正しい音というものです。「ファースト オヴ オール」と思い込んでいては一生聞き取れません。
ディクテーションでは、このように今まで勘違いしていた音を正しい音に修正することが可能です。
では、ディクテーションについて詳しく見ていきましょう。
ディクテーションとは
ディクテーションとは、英語で「dictation」とづつり、いくつか意味はありますが、ここでは「書き取り」という意味です。
つまり、「聞えてきた英語を聞こえた通りに書き取る」という勉強です。
詳しい方法は後で解説します。
次は、ディクテーションの目的と効果を解説します。
ディクテーションの目的・効果
ディクテーションの目的は「聞き取れない箇所を特定して、その原因を分析、聞えるように修正すること」です。
この目的をしっかり意識しておかないとディクテーションの効果が薄れてしまいます。
そんなディクテーションの効果は、先ほども軽く説明したように「今まで勘違いしていた英語の音を正しい音に修正される」という効果です。
詳しくは後で解説します。
さらに、ディクテーションを続けて、正しい音を体に染み込ませることで、初めて聞く英文でも聞き取ることが出来るようになります。
では、具体的な方法を解説します。
ディクテーションの方法
では、ディクテーションの方法を実際に英文を使って、説明していきたいと思います。
ディクテーションは以下の6ステップで行います。
① 1~3回音声を聞く
② 聞いたとおりに書き取る
③ 答え合わせ
④ 間違えた箇所の原因を分析
⑤ 聞こえるように修正
⑥ 何度か音声に合わせて発音
多く見えますが、実際は、②、④、⑤以外のステップはすぐに終わるので、そこまで大変ではないです。
では、下の音声を使用して、各ステップを解説していきます。脳内でも良いので、実際にステップ通りに行ってみて下さい。
1~3回音声を聞く
まずは、音声を実際に聞いてみましょう。
余裕があるなら理解も試みて下さい。聞く回数は1~3回程度で良いです。
ディクテーションする音声ですが、慣れないうちは短い英文で行ってください。
オススメなのは、TOEICテストのpart1と2の音声です。『公式問題集』という参考書が良いと思います。
『公式問題集』の音声なら「abceed」というアプリで無料で聞くことが可能です。
音声、スクリプト、英文の訳が付いていれば、自分の勉強したい教材で大丈夫です。
音声を聞き終わったら、次のステップです。
聞いたとおりに書き取る
では、先ほどの音声を聞こえた通りに紙に書き取ってみましょう。
書き取る時のポイントは以下の3点です。
・音声は何度聞いても良い
・スペルは気にしない
・なるべく空白を残さない
音声は何度でも繰り返して大丈夫です。「もう無理!」となるまで、聞きましょう。
また、慣れるまでは一文ですら長く感じると思います。その場合は、2〜4単語ずつ止めて書き取りましょう。
英語のスペルは気にしなくて大丈夫です。そこが目的ではないです。
また、人名や社名、地名などが出てきた場合もスペルは気にしないで下さい。ローマ字読みで書いても構いません。
最後に、空白はなるべく残さないようにしましょう。どうしてもわからない時は聞こえてきた通りにカタカナで書いて下さい。
以上3点が書き取り中に意識することです。例題の音声はどの程度書き取れたでしょうか。
今回は説明都合上、次のように書き取ったとします。
ワノバーシズ ajusting a chair.
では、答え合わせをしましょう。
答え合わせ
この音声は次のように言っていました。
「One of us is adjusting a chair.」
先ほどの回答と見比べてみましょう。
・One of us is adjusting a chair.
・ワノバーシズ ajusting a chair.
間違えた箇所は以下の 2点です。
①one of us is → ワノバーシズ
②adjusting → ajusting
②のようなスペルを間違えた箇所はそこまで気にしなくて大丈夫です。
また、完璧に聞き取れて、完璧に書き取れていたら、次からのステップは必要ありません。何度か英文の発音をして、次の英文に移って下さい。
間違えた箇所の原因を分析
間違えた箇所、聞き取れなかった箇所の原因を分析しましょう。
先ほどの回答では、「one of us is → ワノバーシズ」の箇所が間違えたところです。ここが聞き取れなかった原因を分析していきます。
最初にも言ったように、英語が聞き取れないには2つのパターンがあります。
- そもそもその単語を知らないので聞き取れない
(語彙力不足) - 答えを見ると簡単な単語なのに、聞き取れない
(正しい音を知らない)
今回は単語は簡単なので、2.のパターンですね。
「one of us is」の正しい音を知らなかったのが原因です。この英語の音を「ワン オヴ アス イズ」と勘違いしていたのです。
次は、この勘違いしていた音を正しい音へと修正していきましょう。
もちろん、今回はありませんでしたが、単語を知らなくて、聞き取れなかったという1. のパターンもあります。
その場合は、その単語の発音、意味をしっかりと確認しましょう。
聞こえるように修正
勘違いしていた音を正しい音に修正するには、「弱形」と「リンキング」の知識が必要です。
冒頭で伝えたように、これらの知識を知らなかったと言う人は以下の記事に1度目を通して下さい。
これから説明することは「弱形」「リンキング」を知っている前提です。
ちなみに、「of」の弱形、強形は以下の画像の通りです。
弱形 → ァヴ
強形 → オヴ、アヴ
さて、「one of us is」では、「弱形」と「リンキング」の音声変化が起きます。ただ、音声変化が起きると言っても、英文の見た目は変化しないので、発音記号で説明します。
下の図を見て下さい。
「one of us is」が聞き取れなかった人は、「ワン オヴ アス イズ」と発音されると勘違いしていたからです。
実際は、②のような音声変化が起きて、③のような音になります。
そして、③の音が「one of us is」の正しい音となります。
勘違いしていた音 [wʌn ʌv ʌs ɪz] → 4語
正しい音 [wʌnʌvʌsɪz] → 1語
4語だと思っていたものが、1語のように発音されるわけですから、聞き取れるはずがありません。
その結果、この教材の英語は速いから、もう少し簡単な教材で勉強しようとなります。
しかし、英語は「速い」のではなく「短い」のです。リンキングを特に意識しましょう。
もちろん、正式な場では「ワン オヴ アス イズ」と発音されることもあると思います。ただ、その場合は聞き取ることが出来ます。
さて、「ワン オヴ アス イズ」→「ワナヴァーシズ」で修正が完了しました。
次が最後のステップです。
何度か音声に合わせて発音
最後は正しい音で数回発音します。
[wʌnʌvʌsɪz] 「ワナヴァーシズ」です。音声のように発音して下さい。
例文は”one of us is adjusting a chair.”でした。
「is adjsting」と「adjusting a」でもリンキングが起きます。
すると、この英文全体の音は「ワナヴァーシザジャスティンガチェア」になります。
先ほども軽く触れましたが、単語間は基本的にリンキングが起こります。リンキングの意識を高めて下さい。
カタカナなので正確性は欠けますが、下の音声を聞きながら、このカタカナのように発音してみましょう。
ワナヴァーシザジャスティンガチェア
何度か発音するとかなりクリアに聞き取れるようになると思います。
自分で発音することの出来る音は聞き取ることが出来るようになります。なので、ディクテーションを続けて、たくさんの音声変化にふれましょう。
いろいろな音声変化のパターンに触れることで、初めて聞いた英文でも、自然と頭の中で音声変化が働き、聞き取ることが可能です。
以上、ディクテーションの6ステップでした。
かなり長くなってしまいましたが、適宜確認していただけるとありがたいです。
もう1度その6ステップを確認しておきましょう。
① 1~3回音声を聞く
② 聞いたとおりに書き取る
③ 答え合わせ
④ 間違えた箇所の原因を分析
⑤ 聞こえるように修正
⑥ 何度か音声に合わせて発音
ディクテーションの後にすること
ディクテーションを終えた英文は、数日は音読やオーバーラッピング、シャドーイングをして音声変化を長期記憶に詰め込みましょう。
回数に決まりはありませんが、自分が納得するまでです。最大でも1日30回ぐらいだと思います。
英文が短いので、30回と言ってもすぐに終わります。
脳内ディクテーションでも効果はあるのか
ディクテーションは勉強の性質上、紙とペンが必要なので、机の前に座る必要があります。
毎回それをするのを煩わしく感じる人もいると思います。そんな時は、脳内でディクテーションをしましょう。
また、寝転びながらスマホで英文を聞いて、スマホのメモ機能などに聞こえてきた英文を書き取るのも良いと思います。
私自身、脳内でディクテーションすることもたくさんありました。
間違えた箇所の原因分析と正しい音への修正をしっかり行うなら、脳内ディクテーションでも効果はあるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はディクテーションの方法をかなり詳しく解説してきました。
ディクテーションはしっかりと目的を意識して行えば、かなり、聞き取る力が向上します。これまで、ディクテーションをしてこなかった人は、ぜひ勉強に取り入れてみて下さい。
今回の記事が、少しでもリスニングが苦手な人の役に立っているなら嬉しいです!
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