「リスニングパートのスコアが伸びない…」
「英文が左から右に抜けていく…」
リスニングに悩みを抱えている人はかなり多いと思います。
私も全くリスニングが出来なくて、何度も挫けそうになることもありました。
今回はそのような悩みを抱えている人に向けて、私が900点を超えた時に、実際に行っていた勉強法を紹介します。
しっかりと原因を分析して、リスニングの勉強をすることでTOEICのリスニングパートでは480点を取得することが出来ました。

リスニングが出来ない原因

聞こえない原因、リスニングが出来ない原因は、大きく分けて以下の3つです。
- 単語力不足
- 発音の知識が無い
- 聞き取れているけど、瞬時に意味を理解できない。
自分がリスニングが出来ない原因を見極めて、その原因の対策をしないとあまり効果はありません。
リスニングの勉強をたくさんしているのに、全然聞こえるようにならないという人は、闇雲に、あまり効果のない勉強をしている可能性があります。
まずは自分が聞こえない原因を知りましょう。
では、1つずつ説明していきます。
単語力不足
リスニングが出来ない1番の原因として、単語力不足が挙げられます。
単語の意味や発音を知らないと絶対に聞き取ることはできません。
なので、まずは、しっかりと単語を勉強することをオススメします。そして、単語を勉強するときは極力音声を聞いて、その単語を発音できるようにしておきましょう。
発音の知識が無い
単語自体は知っているのに、聞き取れなかったという経験をしたことがある人は多いと思います。それは、発音の知識を知らないことが原因かもしれません。
発音の知識とは主に以下の3点です。
- 発音記号
- 弱形
- リンキング
最低でもこれらの知識を理解していないと、リスニングはなかなか上達しません。
なので、これらを知らなかった人は理解するところから始めましょう。
発音記号
発音記号をみた時にある程度正しい発音ができるように勉強しましょう。
発音記号が分からない人は、IPA (International Phonetic Alphabet) で検索して下さい。
弱形・リンキング
この2つを説明するとかなり長くなってしまうので、この2つを知らなかったという人は以下の記事を参考にして下さい。詳しく解説しています。
少しだけ解説しておきます。
「弱形」とはその単語が文中であまり意味を持たないときに、「短く、軽く」発音されることです。
以下の写真を見て下さい。
![英和辞典の[of]の項](https://muu-english.blog/wp-content/uploads/2022/09/IMG_E4907-edited.jpg)
⦅弱⦆が「弱形」、⦅強⦆「強形」です。強形とは学校で習う発音です。
つまり、「of」の場合、強形は「オヴ」です。そして、弱形は「ァヴ」「オ」のように、「軽く・短く」発音されます。
『of』
弱形 →「ァヴ」「オ」
強形 →「オヴ」
ただ、ネイティブの人は普段、強形よりも弱形で発音することの方が多いです。なので、弱形を理解することが、リスニング力向上に繋がります。
前置詞や代名詞などの単語は「弱形」で発音されることがほとんどです。
ネイティブの英語は「短い」ということを意識して下さい。
「リンキング」とは単語の語尾と語頭がつながって発音されることです。
最も身近な例を挙げると、「thank you」が「サンク ユー」ではなく「サンキュー」になる現象がリンキングです。
他にも例を挙げておきます。
「one of」→「ワノヴ」
「one of us」→「ワノヴァス」
「first of all」→「ファスタヴァール」
実際に聞いてみて下さい。
聞き取れているけど、瞬時に意味を理解できない。
この場合はリーディング力不足が原因です。
リーディング力とは、「英文を返り読みせずに、頭から理解する力」のことです。
リスニングでは、「返り聞き」をすることが出来ないので、絶対に頭から理解する必要があります。
頭から理解する力は、正しい音読を繰り返すことで身に付きます。
音読の仕方についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にして下さい。
使用する教材

私がリスニングで480点を取った時に使用していた教材は以下の3冊です。
- 『公式問題集』
- 『TOEIC L&R TEST パート1・2特急難化対策ドリル』
- 『パート1・2特急Ⅱ出る問 難問240』
公式問題集は今後の勉強にも不可欠なので、購入しておきましょう。
残り2冊はpart1・2の対策ドリルです。公式問題集だけでは、part1と2の演習問題が少ないので、この2冊でカバーします。
オレンジ表紙の方が難易度は低いです。
2冊とも森田鉄也先生が書いています。
リスニング勉強法

これからpart1~4の勉強法を紹介しますが、ベースとなる勉強法は同じなので、まずはその勉強法を説明します。
- 解く・答え合わせ・解き直し
- ディクテーション
- オーバーラッピング
- シャドーイング
以上4ステップがリスニングの勉強法となります。1つずつ説明していきます。
音声は「abceed」で無料で聞くことが出来ます。

解く・答え合わせ・解き直し
まずは、公式問題集を解きましょう。
全問でも勉強するpartだけでも構いません。解く時は、出来る限りスピーカーで音声を聞くようにしましょう。
少なくとも本番までに、1度はスピーカで聞いておきましょう。
解き終えたら答え合わせをします。この時、後で解き直しをするので、解説や正解をなるべく見ないようにして下さい。
次に、間違えた問題の解き直しです。音声は何度聞いても大丈夫です。
このステップは問題を解いて、解き直しをしているだけなので、さほど重要なステップではありません。
次からが重要なステップとなります。
ディクテーション
ディクテーションは「dictation」と綴り「書き取り」という意味です。
英語の音声を聞いて、聞こえた通りに書き取る勉強法です。
ディクテーションをする目的は、「聞き取れなかった箇所の原因を細かく分析して、聞き取れるようにする」というものです。
また、原因を分析しているうちに「弱形」や「リンキング」の感覚が身に付くので一石二鳥です。
ディクテーションは以下の手順で行ってください。
- 限界まで書き取る
- 答え合わせ
- 聞き取れなかった原因を分析
- 聞き取れなかった箇所を何度も発音
実際に以下の音声を使用して、手順通りに説明していきます。
是非実際に書き取ってみて下さい。頭の中に思い浮かべても大丈夫です。
限界まで書き取る
「もう無理!」となるまで音声を聞いて書き取ってください。どうしても無理なところはカタカナでも構いません。
今回は説明の都合上「I ??? yesterday.」になったとします。
「???」は聞き取れなかった箇所です。
答え合わせ
この音声は「I met him yesterday.」と言っていました。
それでは、「met him」が聞き取れなかった原因を分析していきましょう。
聞き取れなかった原因を分析
ディクテーションが出来ない原因は主に以下の2つです。
① 単語を知らない
② 単語は知っているけど、音声変化を知らない
①に関しては、語彙力を増やすしかありません。
今回は②の「音声変化を知らない」が原因です。
「met him」で弱形やリンキングなどの音声変化が起きています。
まずは「met him」でリンキングが起きます。
ただ、「him」は弱形で「im」「ィム」のように発音されます。
なので実際は、「met im」のような音になります。
![英和辞典 [him]の項](https://muu-english.blog/wp-content/uploads/2022/09/S__26017795-1024x276.jpg)
ただ、少し難しいですが、母音に囲まれた「t」は「d や l」のような音に変化するルールがあるので、「met im」ではなく「med im」になります。
これが、リンキングで「medim」「メディム」のような音になります。そして、これが「met him」の正しい音です。
ここまでして分析が完了となります。

もう一度聞いてみましょう。
どうでしょうか。
「アイ メディム イエスタデイ」に聞こえたら正解です。
この音声では「メティム」のようにも聞こえます。
聞き取れなかった箇所を何度も発音
あとは、正しい音で何度も発音して、今まで間違って認識していた音を正しい音に修正しましょう。
自分が発音できる単語は必ず聞き取れるようになります。
以上がディクテーションの手順でした。
様々な英文でディクテーションを何度もして、何度も分析することで、音声変化の感覚が身に付きます。
最後にもう一度ディクテーションの手順を確認しておきます。
- 限界まで書き取る
- 答え合わせ
- 聞き取れなかった原因を分析
- 聞き取れなかった箇所を何度も発音
オーバーラッピング
オーバーラッピングとは、スクリプトを見ながら音声に被せて発音する勉強法です。
「間・抑揚・発音・リズム」を真似しましょう。

いきなりオーバーラッピングをすることは難しいと思うので、最初はリピーティングをしても良いです。
リピーティングとは、音声を聞いてから同じように発音するという勉強です。慣れてきたらオーバーラッピングに移りましょう。
オーバーラッピング…音声と同時に発音
リピーティング …音声を聞いた後に真似して発音
違いを理解しておいて下さい。
シャドーイング
シャドーイングとは、音声を聞いて、その音声よりも2~3単語遅れて発音する勉強法です。
この時、スクリプトは見ないようにして下さい。耳で聞いて、そのまま発音するので、オーバーラッピングよりも少し難易度が高いです。

オーバーラッピングとシャドーイングの違いは理解しておいて下さい。

オーバーラッピングとシャドーイングの最大の目的は、「英語独特の間・抑揚・リズム・音声変化を体に染み込ませる」ことです。
様々な英文でオーバーラッピング、シャドーイングを繰り返し行うと、初見の英文でも自然な間・抑揚・リズム・音声変化で発音できるようになります。
先ほども伝えたように、自分で発音できる英語は聞き取ることが可能です。
そこに、リーディング力があると、聞き取った英語の理解が出来るようになります。
以上がリスニングの勉強法でした。
もう一度確認しておきます。
- 解く・答え合わせ・解き直し
- ディクテーション
- オーバーラッピング
- シャドーイング
次は、この勉強法をベースに各パートの勉強法を紹介していきます。
part1・2の勉強法

まずは、これまで説明してきた、問題を解いて、シャドーイングまでの4ステップをして下さい。
part1と2は比較的短文なので、そこまで苦労しないと思います。むしろ、part3と4の長文に向けて、この4ステップに慣れて下さい。
正直、part1と2は演習を通して、解答パターンを知ることで簡単にスコアは上がります。なので、公式問題集を終えたら、先ほど紹介した2冊で演習を積みましょう。
オレンジ表紙の方が難易度は低いです。
part3と4の勉強と並行して下さい。
また、先ほど紹介した4ステップはする必要はありません。間違えた英文を数回発音する程度で構いません。
また、私が勉強していた当時は無かったのですが、『神速 神ポイント100』という参考書でpart1と2の解答パターンを効率良く学習することが出来ます。
『神ポイント100』については以下の記事で詳しく解説しています。
part1、2だけでなく、全てのpartでスコアUPに直結することを学ぶことが出来るので、かなりの良書です。
『神ポイント100』でインプットしてから公式問題集を解くという流れで勉強することをオススメします。

part3と4の勉強法

part3と4の勉強は全ての長文をシャドーイングできるようにすることです。
part3と4は合わせて23個の長文があります。この23個の長文を全て滑らかに、詰まることなくシャドーイングできるようにして下さい。
流れとしては以下の画像の通りです。

長文をいきなりオーバーラッピングするのは大変なので、スクリプトを見ながらシャドーイングをして、その長文の「間・リズム・抑揚」に慣れましょう。
慣れてきたら、オーバーラッピングに移ります。オーバーラッピングでは、8~9割程度長文の真似をすることが出来たら完了です。
シャドーイングはオーバーラッピングをしっかり出来ていれば、そこまで苦労することはないと思います。
音に着いていくことに慣れてきたら、英文の意味を頭に浮かべながらしてみて下さい。
また、次の長文に行った後も、復習として前の長文を数回シャドーイングするようにして下さい。
目安として、私は、スクリプト付きシャドーイングを5~10回、オーバーラッピングを30~40回、シャドーイングを20回程度していました。
大体50回ほどその長文を読むことになります。
また、その長文が終わった後も、復習として何度かシャドーイングやオーバーラッピングをしていたので、全ての長文を100回以上は読んでいると思います。

やっていくうちに覚える長文も出てくると思いますが、覚えることが目的ではないことに注意して下さい。
「英語独特の間・抑揚・リズム・音声変化を体に染み込ませる」が目的です。
また、滑らかに出来るようになってきたら、「abceed」では再生速度を変更することが出来るので1.1倍速や1.2倍速で聞いてみましょう。
まとめ

いかがでしたでしょうか。
1冊の公式問題集が終わったころにはかなりのリスニング力が付いていると思います。
私も公式問題集と先ほど紹介した2冊しかリスニングの勉強していません。
今回紹介した勉強法をかなり重要ですが、リーディングの力も同じくらい重要なので、音読も同じくらい繰り返しましょう。
リーディングもそうですがリスニングはいきなり伸びません。
毎日勉強していると「あれ?今の英文自然と理解できた!」と感じるようになります。
その日を信じて勉強を続けましょう!
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